習慣が途切れたら 再開を「当たり前」にする小さな仕組みづくり
習慣が途切れても大丈夫。再開を「当たり前」に感じられる小さな工夫とは
毎日続けたい習慣があるのに、気がついたら何日も、あるいは何週間も途切れてしまっている。忙しい日々の中で、こういった経験は決して珍しいことではありません。
せっかく始めた習慣が途切れると、「またできなかった」「自分はダメだ」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。でも、落ち込む必要は全くありません。習慣は、途切れてしまうのが自然なことだからです。大切なのは、途切れた後に、いかにスムーズに、無理なく再開できるか、という点です。
この記事では、習慣が途切れてしまった時に、再開を「特別なこと」ではなく、まるで「当たり前」のように感じられるようになる、いくつかの小さな仕組みづくりをご紹介します。特別な道具や複雑な手順は必要ありません。あなたの日常の中に、そっと再開のきっかけを仕込んでおくイメージです。
なぜ習慣の再開は難しく感じるのでしょうか?
習慣が途切れた後、再開するのが億劫に感じてしまうのは、いくつかの理由が考えられます。
- 「完璧」な状態からのギャップ: 毎日できていた頃の自分と比べて、「やらなきゃ」というプレッシャーを感じる。
- 再開の「最初の一歩」が大きい: 何から始めればいいか迷ったり、始めるまでの準備が面倒に感じたりする。
- 再開を忘れてしまう: 忙しさに紛れて、いつの間にか再開しようと思っていたこと自体を忘れてしまう。
- 気分に左右される: 「やる気が出たらやろう」と思っていても、なかなかそのタイミングが訪れない。
これらの課題に対処するために、「頑張って思い出そう」「やる気を出すまで待とう」とするのではなく、再開が自然に促されるような「仕組み」があると、ぐっと楽になります。
再開を「当たり前」にする小さな仕組みづくりのアイデア
ここでは、日常生活に無理なく組み込める、具体的な仕組みづくりのアイデアをいくつかご紹介します。
1. いつもの行動に「ついでに」組み込む(行動連鎖)
これは、最も効果的で簡単な仕組みの一つです。「〇〇をしたら、必ず△△(再開したい習慣)をする」というルールを自分の中に作ります。〇〇は、あなたが普段、意識しなくても自然に行っている行動(既存の習慣)を選びます。
- 例1:読書習慣の再開
- 「夕食後にお皿を洗ったら、コーヒーを淹れる ついでに、読んでいた本をテーブルに出す」
- さらに一歩進めて「コーヒーを淹れて席に着いたら、必ず5分だけ本を開く」と決める。
- 例2:ストレッチ習慣の再開
- 「お風呂から上がったら、着替える ついでに、ストレッチマットを広げる」
- 「テレビを見る前に、必ずマットの上に座る」と決める。
- 例3:日記習慣の再開
- 「子供が寝たら、リビングの電気を消す ついでに、机の上に出しておいたノートとペンを見る」
- 「ノートとペンを見たら、必ず一行だけ今日の良かったことを書き出す」と決める。
このように、すでに日常に溶け込んでいる行動に、再開したい習慣を「セット」で組み込むことで、意識的な努力なしに再開のきっかけを作ることができます。
2. 習慣に必要なものを「スタンバイ」させておく
再開したい習慣に必要なものを、すぐに始められる状態にしておくことも有効です。これは、始める際の「準備が面倒」というハードルを劇的に下げる仕組みです。
- 例1:運動習慣の再開
- 着替えをする場所に、運動着とタオルをセットで置いておく。
- ヨガマットを出しっぱなしにしておく。
- ウォーキングシューズを玄関の取りやすい場所に置いておく。
- 例2:勉強習慣の再開
- 勉強する場所に、開いたままのテキストやノート、ペンを置いておく。
- 参考書をテーブルの上に出しておく。
- 例3:趣味の習慣の再開
- 編みかけの毛糸と編み針をカゴに入れて、ソファの横に置いておく。
- 絵を描く道具を机の上に出しておく。
これらが視界に入るだけで、「あ、やろうと思ってたんだ」と思い出しやすくなりますし、「始めるための準備」という小さな手間を省くことができます。
3. 特定の「場所」や「モノ」を再開の合図にする
特定の場所に行ったら、あるいは特定のモノを見たら、反射的に習慣を再開する、という仕組みです。
- 例1:読書習慣の再開
- 「この椅子に座ったら、本を読む時間」と決める。
- 特定のマグカップでコーヒーを飲んだら、読書を始める。
- 例2:瞑想習慣の再開
- 特定のクッションやマットの上に座ったら、瞑想を始める。
- 例3:片付け習慣の再開
- このタイマー(キッチンタイマーなどシンプルなものでOK)をセットしたら、5分だけ片付けを始める。
場所やモノは、日々の生活で必ず目にしたり使ったりするものを選ぶと、より効果的です。視覚的な刺激が、再開への自然なスイッチとなります。
4. シンプルな視覚的なリマインダーを活用する
複雑なアプリを使わなくても、身近なもので再開を思い出させる仕組みを作ることができます。
- 付箋: 再開したい習慣の名前を書き、目につく場所に貼っておく(冷蔵庫、玄関ドア、パソコンなど)。
- カレンダー: 習慣を再開したい日に、大きなマルや簡単な絵文字を描いておく。「今日やろうと思ってたんだ」と思い出すきっかけになります。
- スマホのリマインダー機能: 特定の時間に「〇〇(習慣)の時間だよ」というメッセージが出るように設定しておく。これは時間で区切りやすい習慣に向いています。
これらのリマインダーは、あなたを「監視」するものではなく、「そっと教えてくれる」味方だと考えましょう。通知が来ても、その時できなければ、後でやっても全く問題ありません。
仕組みが機能しなくても、自分を責めないで
今回ご紹介した仕組みは、あくまで再開を「手助け」するためのものです。仕組みを作っても、うまくいかない日があるかもしれません。そんな時でも、「せっかく仕組みを作ったのに、またできなかった」と自分を責めないでください。
習慣は、途切れることを前提に考えましょう。仕組みが機能しなかった日は、「今日はうまくいかなかったな。明日はどうしてみようかな?」と、原因を冷静に考えてみるチャンスです。
- 設定した「ついでにする行動」が、再開したい習慣と離れすぎていたかな?
- 「スタンバイ」しておいた場所が、あまり通らない場所だったかな?
- リマインダーに気づかなかった、あるいは気づいたけど時間がなかったかな?
このように振り返り、必要であれば仕組みを少し変えてみましょう。再開の仕組みも、一度作って終わりではなく、あなたの生活や状況の変化に合わせて、柔軟に見直していくことが大切です。
まとめ:小さな仕組みで、再開のハードルを下げる
習慣が途切れても、それは失敗ではありません。再開するための準備期間だと考えましょう。そして、その再開を「特別な頑張り」ではなく、「当たり前の流れ」にするために、小さな仕組みをあなたの日常に仕込んでみてください。
「〇〇したら△△する」「必要なものを出しっぱなしにする」「この場所に来たらこれをする」といった、シンプルで無理のない工夫は、あなたの意志力に頼るのではなく、環境や行動の流れが自然と再開を促してくれます。
完璧を目指さず、まずは一つ、あなたの生活に取り入れやすそうな仕組みを試してみませんか?きっと、習慣の再開が以前よりもずっと楽になるはずです。