習慣再開のハードルを下げる 始める準備をなくす簡単なコツ
習慣は日々の暮らしに良い変化をもたらしますが、忙しい日常や予期せぬ出来事があると、つい途切れてしまうことがあります。一度習慣が中断すると、「またゼロからやり直しか」「準備が面倒だな」と感じてしまい、再開への一歩が重くなりがちです。完璧にできなかった自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
しかし、習慣が途切れることは決して珍しいことではありません。多くの方が経験することです。大切なのは、途切れた時に自分を責めるのではなく、どうすれば無理なく再開できるか、その方法を知っておくことです。
習慣再開の妨げになる「準備」の壁
習慣を再開しようと思った時に、「始めるための準備」が意外なハードルになっていることがあります。例えば、
- 運動しようと思っても、着替えたりマットを出したりするのが億劫
- 本を読もうと思っても、どこに置いたか探したり、飲み物を用意したりするのが面倒
- 資格の勉強をしようと思っても、テキストやノート、筆記用具を揃えるのに時間がかかる
このように、習慣そのものにたどり着くまでの「準備段階」で、私たちは無意識のうちにエネルギーを使っています。この小さな手間が積み重なると、「やっぱり今日はいいか」と再開を先延ばしにしてしまう原因になるのです。
準備を最小限にする「スタンバイ」の考え方
この「準備の壁」を取り除くための有効な方法が、「始める準備を最小限にしておく」という考え方です。まるで、いつでもすぐに始められるように「スタンバイ」させておくようなイメージです。
これは特別なことではなく、日々の工夫で取り入れられます。いくつか具体的なアイデアをご紹介します。
いつでも始められる「場所」と「モノ」の準備
習慣を行う場所や使うモノを、常に習慣を始めるのに最適な状態にしておきます。
- 例1:ストレッチや軽い運動
- リビングの片隅にストレッチマットを敷きっぱなしにしておく。
- 運動用のウェアを、すぐ手に取れる場所に用意しておく。
- (可能であれば)着替えてしまう。
- 例2:読書や勉強
- 読みかけの本や勉強道具を、座る場所のテーブルの上など、目につくところに置いておく。
- よく読む本は、開いたままにしておく。
- お気に入りの飲み物やひざ掛けなど、習慣のお供をセットにして近くに置いておく。
- 例3:日記やジャーナリング
- ノートやペンを、ベッドサイドやダイニングテーブルなど、書く場所に常に置いておく。
このように、習慣を始める時に「まず〇〇を取りに行って…」「〇〇を片付けて場所を作って…」といった手間をなくすだけで、再開への心理的なハードルはぐっと下がります。
「着替えなくてもいい」「片付けは後でいい」などルールを柔軟に
「習慣はこうあるべき」という固定観念にとらわれず、今の自分や状況に合わせてルールを柔軟に変えてみましょう。
- 例1:運動
- 「必ず運動ウェアに着替えなければ」と思わず、部屋着のままできる簡単なストレッチや筋トレだけを行う日にする。
- 短時間だけ行うと決めて、マットを出さずに床でできる範囲にする。
- 例2:片付け
- 習慣を終えたらすぐに完璧に片付けなくても良い、と自分に許可を出す。例えば「読書に使った本は、読み終えるまでテーブルに置いておいていい」と決める。次に始めるときに、また探し出す手間が省けます。
- ただし、生活空間が散らかりすぎないよう、後でサッと片付けられるような仕組み(定位置を決めるなど)は意識しておくと良いでしょう。
完璧を目指さず、「これなら今の状態でもできるかな」という妥協点を見つけることが大切です。
「最初の1分」だけのために準備する
「スタンバイ」は、習慣そのものではなく、「習慣を始めるための最初の行動」に焦点を当てた準備です。
- 例:読書習慣の場合
- 本を開いて、読み始める最初の文章を目に入れるところまでを「準備」と捉え、そこまでをスムーズに行えるようにスタンバイしておく。
- 例:ストレッチ習慣の場合
- マットの上に立ち、ストレッチを始める最初の姿勢をとるところまでを準備と捉え、そこまでをスムーズに行えるようにしておく。
「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、この「最初の1分」の行動をスムーズに始めるための準備ができていると、「よし、やってみよう」と軽い気持ちで一歩を踏み出しやすくなります。
準備をなくしても始められない時は
準備を最小限にしても、どうしても気分が乗らない日もあるかもしれません。そんな時は、自分を責めずに「今は再開のタイミングではないかもしれない」と一度立ち止まってみることも大切です。
あるいは、「とりあえず、準備だけしてみよう」と考えてみるのはどうでしょうか。マットを敷く、本を開く、など「準備」として捉えていた行動を一つだけ行ってみます。意外と、そこから自然と習慣へと移行できることもあります。
完璧に毎日続けられなくても良いのです。習慣が途切れた自分を責めるエネルギーを、「どうしたら次の一歩を踏み出しやすくなるか」という工夫に使う方が、ずっと建設的です。
まとめ:準備を減らして、再開を身近に
習慣が途切れた時、再開の大きなハードルの一つは、始める前の「準備」です。使うモノをスタンバイさせておく、場所を決めておく、完璧な準備でなくても良いとルールを緩めるなど、小さな工夫で準備の手間を最小限にできます。
これらの「準備をなくす」アイデアは、忙しい日々の中でも「これならできそう」と思える、現実的な再開へのヒントとなります。途切れてしまっても、自分を責めず、まずは「いつでも始められる状態」を作ってみましょう。そして、準備ができたらいつでも、小さな一歩から再開してみてください。