習慣が途切れたら「いつから」を決めずすぐ始めるコツ
習慣が途切れてしまうことは、誰にでも起こります
毎日続けたいと思っていた習慣が、忙しさや予期せぬ出来事で中断してしまうことは、決して珍しいことではありません。特に、家事や育児、仕事など、自分の時間を持つのが難しい日々を送っていると、どうしても習慣は後回しになりがちです。
そして、一度習慣が途切れてしまうと、「いつから再開しようか」「もう何日も経ってしまったし、また最初から頑張らないと」と考えてしまい、かえって再開のハードルが高く感じられることがあります。完璧にやろうと思うほど、途切れた自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、大丈夫です。習慣が途切れることは、失敗ではありません。そして、再開するために特別なタイミングや準備は必要ありません。この記事では、習慣が途切れたときに「いつから」と悩まず、すぐにでも一歩を踏み出すためのシンプルなコツをご紹介します。
なぜ「いつから」を決めると再開が難しくなるのか
「月曜日から」「来週から」「連休明けたら」など、再開する日を具体的に決めようとすると、かえって行動が先延ばしになりがちです。
- 完璧な日を待ってしまう: 「どうせ始めるなら、時間がしっかり取れる日に」と考えてしまい、結局その「完璧な日」がなかなか来ない。
- 区切りを意識しすぎる: 一度途切れたことをリセットし、また完璧に始めようとするあまり、最初のハードルが高くなる。
- 再開までのブランクが心理的負担に: 途切れていた期間が長くなるほど、「もうダメかも」「面倒だな」という気持ちが強くなる。
このように、「いつから」という区切りにこだわりすぎると、かえって行動を阻害してしまうことがあるのです。
タイミングを決めずに「すぐ始める」という考え方
習慣を再開する最もシンプルな方法は、「いつから」と決めずに、「思い立ったその時、すぐ」に始めることです。
難しく聞こえるかもしれませんが、これは「完璧に再開する」という意味ではありません。「少しだけ」「ほんの短い時間だけ」でも良いので、とにかく行動してみる、ということです。
例えば、毎晩寝る前に読書する習慣が途切れたとします。「今日からまた毎日30分読もう」と決めるのではなく、「今、この瞬間に、目の前にある本を1ページだけ開いてみようかな」という感覚です。
この「すぐ始める」アプローチの利点は、以下の通りです。
- 考えるより先に行動できる: 迷っている間にエネルギーを消耗せず、小さな行動を起こしやすい。
- 心理的なハードルが低い: 完璧を目指さないので、「失敗したらどうしよう」というプレッシャーが少ない。
- 再開までのブランクを気にしない: 途切れた期間に関係なく、いつでもリセット可能。
- 「やれた」という小さな成功体験が得られる: たとえ短時間でも、行動できた事実が自信につながる。
「すぐ始める」ための具体的なヒント
では、どのようにすれば「いつから」と決めずに、すぐに習慣を再開できるのでしょうか。忙しい日常でも取り入れやすい、身近なヒントをご紹介します。
1. 「とにかく1回(または1分)だけ」のルール
再開する時は、「今日はこれだけやればOK」という最小限の目標を設定します。
- 読書: 「本を開いて1行だけ読む」
- ストレッチ: 「座ったまま背伸びを1回だけする」
- 勉強: 「テキストの最初の1行だけ読む」
- ウォーキング: 「玄関を出てポストまで歩くだけ」
たとえそれだけで終わっても構いません。重要なのは、「始める」という行動を起こすこと。多くの場合、始めてみればもう少し続けられるものです。
2. 「できること」だけを探す
理想の時間や場所、完璧なコンディションを待つ必要はありません。今の状況で「これならできる」という、ごく小さな行動を探します。
- 子供がお昼寝した短い時間に、座ったままできるストレッチを1分。
- 洗濯機が回っている待ち時間に、テキストを1ページだけ読む。
- パートの休憩時間に、コーヒーを飲みながら英単語を3つだけ確認する。
- 夕食の準備でお湯が沸くまでの間に、スクワットを3回だけ行う。
このように、日常の隙間や「ながら時間」を活用して、ごく小さな習慣を差し込んでみましょう。
3. ハードルを下げる工夫
再開への一歩をさらに軽くするために、準備の手間を省きます。
- 読書を再開するなら、本をいつも手に取れる場所に置いておく。
- ストレッチなら、ウェアに着替えずにできる簡単な動きだけにする。
- 勉強なら、テキストやノートを机の上に出しっぱなしにしておく。
「やろうかな」と思った瞬間に、すぐ行動できる環境を整えておくと、迷う時間なく始めやすくなります。
4. 「もし〜したら、〜する」の合図を作る
特定の行動や出来事を、習慣を始める「合図」にします。
- もしお皿洗いが終わったら、すぐキッチンの横でストレッチを1回だけする。
- もしテレビのCMが始まったら、すぐスクワットを5回する。
- もし洗濯物を干し終えたら、すぐテーブルの上の本を1ページだけ読む。
このように「もし〜したら、〜する」と具体的に決めておくと、その状況になった時に迷わず行動に移しやすくなります。これは「if-thenプランニング」と呼ばれる、行動科学に基づいた効果的な方法です。
5. 記録はシンプルに「やった/やらなかった」だけ
完璧にやろうとすると、記録をつけるのも億劫になりがちです。再開初期は、できたかどうかをカレンダーに✓をつける、アプリにスタンプを1個押す、といった簡単な方法で十分です。できた自分を褒めてあげる、というスタンスが大切です。
途切れても自分を責めないで、また「すぐ」始めればいい
習慣が途切れてしまった時、「またダメだった」「自分は意志が弱い」と自分を責める必要は全くありません。習慣化の過程では、中断は当たり前に起こります。大切なのは、途切れたことを問題視せず、いかに早く、そして柔軟に再開できるか、という考え方です。
「いつから」と悩む時間をなくし、「今、この瞬間」からできるごく小さな一歩を踏み出す。完璧を目指さず、「できたこと」に目を向ける。このシンプルな考え方が、習慣を長く、無理なく続けるための秘訣です。
忙しい毎日の中で、自分のための時間を作り、習慣を続けるのは素晴らしいことです。たとえ途切れても、自分に優しく、「またすぐ始めよう」と気軽に再開してみてください。あなたのペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。