習慣化は失敗が前提 途切れてもOKな柔軟リカバリープラン
習慣が途切れてしまうのは、あなたのせいではありません
新しい習慣を始めてみたものの、つい途中でやめてしまった、という経験はありませんか。読書やストレッチ、語学学習など、「続けていきたいな」と思った習慣ほど、忙しさや予期せぬ出来事で中断してしまうことはよくあります。
そして、一度途切れると、「またダメだった…」「自分は意志が弱いんだ」と、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、安心してください。習慣が途中で途切れてしまうのは、決してあなただけではありません。むしろ、習慣化のプロセスにおいて、中断は「当たり前」に起こることなのです。
なぜ習慣は途切れるのが「前提」なのか
私たちの日常は、計画通りに進むことばかりではありません。特に、ご家族の世話や家事、お仕事など、突発的な対応が必要になる場面が多い方にとって、自分のために確保していた時間が削られてしまうのは避けられないことでしょう。
- 急な子どもの発熱
- 仕事での予期せぬトラブル
- 体調を崩してしまった
- 単純に、その日の気分が乗らない…
このような要因で、決めていた時間に決めていたことができなくなるのは、ごく自然なことです。そして、一度リズムが崩れると、「完璧にできなかった」という気持ちから、再開するハードルが高く感じられてしまうのです。
完璧を目指すより「再開する力」を育てる
ここで、習慣化に対する考え方を少し変えてみましょう。「習慣化=毎日完璧に続けること」と考えるとしんどくなります。そうではなく、「習慣化=途中で途切れても、再びスムーズに再開できること」と捉え直してみるのです。
つまり、習慣は「完璧に続けるもの」ではなく、「途切れるのが前提で、そこからいかにリカバリーするか」が鍵となります。失敗は終わりではなく、リカバリーの機会と考えるのです。
この考え方に立つと、重要なのは「失敗しないこと」ではなく、「失敗(中断)からいかに早く、無理なく立ち直るか」になります。これが、「柔軟なリカバリープラン」という考え方です。
途切れても大丈夫!柔軟なリカバリープランの立て方
では、具体的にどのようにリカバリープランを立てれば良いのでしょうか。特別な準備は必要ありません。日々の暮らしの中で、少し工夫するだけで実践できます。
1. 「最低限これだけ」を決めておく
習慣が途切れたとき、最初から元のボリュームで再開しようとすると挫折しやすくなります。そこで、「中断から再開する最初の1歩」のために、「最低限これだけはやろう」というハードルの低い目標を設定しておきます。
- 例: 読書なら「1ページだけ読む」「1行だけ読む」、ストレッチなら「深呼吸を3回する」「簡単なポーズを1つだけ」、語学学習なら「単語を1つだけ調べる」。
この「最低限」は、どんなに疲れていても、時間がなくても、「これならできる」と思えるレベルに設定するのがポイントです。再開できたという事実が、次のステップにつながります。
2. 「いつもの時間・場所がダメなら」代替案を用意しておく
習慣にしている時間や場所が、その日はどうしても確保できない、という状況はよくあります。そんな時に備えて、事前に代替案を考えておくと安心です。
- 例:
- 夜の読書時間がお風呂で潰れた → お風呂上がりに「最低限1行だけ」読む
- リビングでのストレッチが家族がいてできない → 寝室のベッドの上で簡単なストレッチをする
- 午前中の語学学習時間がパートでなくなった → 移動時間にスマホで学習アプリを1問だけ解く
あらかじめ「もしこうなったら、こうしよう」と考えておくだけで、いざという時に慌てずに済みます。
3. 「再開の合図」を複数持っておく
習慣を始める「きっかけ」となる合図(トリガー)をいくつか用意しておくと、いつもの合図が使えなくなった時でも安心です。特定の時間だけでなく、他の行動や状況を合図にすることも有効です。
- 例:
- いつもの合図:夕食後にお皿洗いが終わったらストレッチ
- 別の合図:パートから帰宅して一息ついたらストレッチ(たとえ夕食前でも)
- 別の合図:子供が寝静まったら読書(たとえ時間が遅くなっても)
「この状況になったら、これをする」というルールをいくつか持っておくと、日々の変化に対応しやすくなります。
4. 記録は「再開できた日」に印をつける感覚で
ストイックに毎日記録をつけようとすると、途切れた時にプレッシャーになります。記録は、完璧な継続を証明するためではなく、「あ、今日再開できたな」という事実を確認し、自分を褒めるためのツールとして活用しましょう。
カレンダーに再開できた日に丸をつける、手帳に簡単に「読書再開!」と書き込むなど、シンプルな方法で十分です。途切れた日数があっても気にせず、「今日、復活できた!」という小さな成功体験を積み重ねることに焦点を当ててください。
5. 自分を責めずに「次どうするか」に目を向ける
習慣が途切れてしまったとき、「あーあ、また続かなかった」と落ち込んでしまう気持ちはよく分かります。しかし、自分を責める行為は、再開へのエネルギーを奪ってしまいます。
失敗は誰にでもあります。「今回はこういう理由で途切れてしまったな。じゃあ、次再開する時は、どうすればもっとやりやすくなるかな?」というように、原因を探るのではなく、未来の対策に意識を向ける練習をしてみましょう。
「まぁ、いっか。明日、最低限から再開しよう」と、自分に優しく声をかけてあげることも大切です。
身近なものがリカバリーの味方に
高価なツールや複雑なアプリは必要ありません。すでに家にある身近なものが、あなたの習慣リカバリーをサポートしてくれます。
- スマートフォンのリマインダー機能: 特定の時間に通知するだけでなく、「やることリスト」として登録し、完了したらチェックを入れるだけでも達成感につながります。通知時間を固定せず、「時間ができたらチェックする」という使い方でも良いでしょう。
- 手帳やカレンダー: 前述の通り、再開できた日に印をつける、簡単なメモを残すなど、視覚的に「できたこと」を確認するのに役立ちます。空白期間があっても大丈夫。「空白を埋めなきゃ」と焦る必要はありません。
- 付箋: 「最低限これだけやること」を書いて、冷蔵庫やパソコン、鏡など、よく目にする場所に貼っておくと、再開のきっかけになります。達成したら剥がす、別の場所に貼り替えるなど、ゲーム感覚で取り入れても良いでしょう。
完璧でなくて大丈夫。小さな一歩を何度でも。
習慣化は、一直線に進む道のりではありません。むしろ、寄り道したり、立ち止まったりしながら進むものです。途中でつまずいても、「これで終わりだ」と思わないでください。
大切なのは、完璧に続けることではなく、途切れても自分を責めすぎず、小さな一歩から何度でも「再開する」ことです。
今日からでも、たとえ短い時間でも、最低限のことだけでも良いので、あなたの習慣に再び目を向けてみませんか。その小さな一歩が、きっと次の再開へとつながっていきます。
あなたは、忙しい日常の中で自分の時間を作ろうと努力しています。そのこと自体が素晴らしいのです。自分に優しく、気長に、あなたのペースで習慣と向き合っていきましょう。応援しています。